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『猫が十二支に入らぬわけ』

「ネ・ウシ・トラ・ウ・・・・・て数えっけどよ、猫がねえべ。
なして入んねがったんべな」

 ちょうどお釈迦さま死んだどきよ、みんながお釈迦さまのお参り行がんなねべ。
ほして猫もねずみに行き会ったど。
「お釈迦さまのお参り、何日だべ」
 ほしたら、何時何時だどて、ねずみ、そのひにち教えだんだと。
「猫ど一緒に行ぐど、おら、おっかねし」
て、一日(ひして)遅ぐ教えだんだど、ねずみぁ。
 それから、猫ぁその次の日、一日遅っでお釈迦さまの涅槃のどごさ、わらわら行ってみだら、誰も来てねがったど。ほうしたらば門番が来て、
「なえだ、こりゃ猫、何しに来たごんだ」
なて。
「今日、あのお釈迦さまのお葬式で来たんだ」
て言うたば、
「お葬式なの、昨日終わったなだぜ」
「ねずみに、今日だって教えらっだ、ほに」
 それがら猫ぁごしゃえで、ねずみどこ、一生懸命とるようになったなだど。
それで十二支さ猫入らんねがった。ねずみに嘘語らっで・・・。
どーびんと。

山形弁訳

『猫が十二支に入らぬわけ』
「ネ・ウシ・トラ・ウ・・・・・・って数えるけれども、猫はないだろ。なんで入らなかったんだろうな。」

ちょうどお釈迦さまが死んだときよ、みんながお釈迦さまのお参りに行かなきゃならないだろ。
そして猫もねずみに行き会ったと。
「お釈迦さまのお参り、何日だっけ。」
 そうしたら、何時何時だって、ねずみ、その日にち教えたんだと。
「猫と一緒に行くと、おれ、怖いし。」
って一日遅く教えたんだと
 それから、猫は、その次の日、一日遅れてお釈迦さまの涅槃(ねはん)のところに、急いで行ってみたら、誰も来ていなかったんだと。そうしたら、門番が来て、
「なんだ、こりゃ猫、何しに来たんだ。」
って。
「今日、あのお釈迦さまのお葬式で来たんだ。」
って言ったら、
「お葬式なんて、昨日終わったんだぜ。」
「ねずみに、今日だって教えてもらったんだ。」
 それから猫は、怒って、ねずみを、一生懸命とるようになったんだと。
それで十二支に猫は入れなかった。ねずみに嘘つかれて・・・。
どーびんと。





○山形弁(置賜方言)の昔話

牛蒡と人参と大根 | 雪女郎 | 百足の医者迎え | 大鳥と大海老と大鯨 | 蛙の恩返し | 蟻と蜂の拾い物 | 金の斧・鉄の斧 | 猫が十二支に入らぬ訳 | 部屋の起こり | 笠地蔵 | 金仏木仏 | 豆腐田楽と和尚さま | 一粒の米 | 猫の釜ぶた | 馬鹿婿と団子 | 飴買い幽霊 | お月様とお日様と雷様 | うば捨て山 | 金持ちと貧乏人 | 三枚のお札 | サトリの化物 | 貧乏の神 | 馬鹿婿ばなし | 和尚の頭に小便 | 長者婿 | [オ]の字 | 稲のはじまり | あやちゅうちゅう | 人柱 | おぶさりたいの杉の木 | 飽きたの三吉 | 上杉様の鴨とり | 唐辛子売りと柿売り | 沼の貸し膳 | しらみの質入れ | 空巣 | 螺とカラス | カラスと螺の話 | おれの住まいと同じ | 古屋の雨漏り | 塩っぱい爺さん | 猫の宮 | 和尚と水飴 | 緋々退治 | 炭焼き吉次 | お正月 | 石肥三年 | 鳥海山の手長足長 | マムシ小判 | 河童と彦助 | 四本目の足 | 米塚山と糠塚山 | 夢買い彦市 | あこや姫 | 蛙とネズミ | 貧乏長者 | 食わず女房 | 狐の恩返し | 玉虫沼 | お釈迦様と鬼 | 雪女と若者 | 猿のお尻はまっかっか | たぬきと若者 | 水の種 | 娘の百夜まいり | 殿様の一文銭 | 提灯お化け | 竜神の立て札 | ばば皮 | | 片目の爺さまと狐 | 鬼の面 | 笛吹き沼 | もぐらの婿さがし | 平種子柿 | 猿羽根の地蔵様 | きつねの恩返し | べんべこ太郎 | 子産石 | 山姥と名刀 | 猫絵十兵衛 | 半ごろしの御馳走 | 鶴と亀