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『河童と彦助』

  むがしむがし、最上川のほとりさ、魚釣りをして暮らしたでった彦助ってないだっけど。
  彦助の家は深い川淵さ建ってで、その川さは河童住みついったんだっけっど。
  その河童、川の魚だけでねぐ、夜になっと、畑のキュウリ食ったりして、悪さすんなだっけど。
  んだげんど、河童は、
「魚どがキュウリじゃねくて、一度でいいがら人間のしりこだま食ってみっちぇなぁ」
って考えったんだっけど。
  ある日、河童はとうとう我慢でぎねぐなって、夜、彦助の家さ忍び込んで、彦助の尻どご、そーっとさわってみだなだど。
  そしたら、
「つめで」
つって彦助が飛び起ぎだもんだがら、河童もびっくりして、一目散に川さ逃げ帰ったなだど。
「河童め、俺のしりこだま食う気だな。困ったなぁ。なじょしたらいがんべ」
って彦助は考えだんだど。
「このまんまじゃ、どうせ寝らんにぇがら」
って言って、彦助はそのままどさが出がげでったんだど。
ほして、次の夜、河童は又彦助の家さ忍び込んで、今度は彦助が起ぎねように、いぎなり、彦助の尻の辺りさ噛みついだなだど。
そしたら、
「ギャーッ」
って叫び声して、又河童は一目散に川さ逃げ帰ったんだっけど。
  叫び声上げだなは河童の方で、それ以来、河童は悪さしに川がら上がって来っこどはねぐなったんだど。
  ・・実は、
  彦助が前の夜に出がげだ時、村のお地蔵さまを借りて来てで、河童が噛みついだ時に布団の中さ寝ったったなはお地蔵さまだったんだど。
んだがら彦助は何ともねくて、それがらは畑も荒らさっちゃりしねぐなって安泰に暮らしたんだと。

どーびんと。

山形弁訳

『河童と彦助』
 むかしむかし、最上川のほとりに、魚釣りをして暮らしを立てている彦助という者がいたんだと。
 彦助の家は深い川淵に建っていて、その川には河童が住み着いていたんだと。
 その河童は、川の魚だけじゃなく、夜になると畑のキュウリ食ったりして悪さをしてたんだと。
 けれど、河童は、
「魚やキュウリじゃなくて、一度でいいから人間のしりこだまを食べたいなぁ」
と考えていたんだと。
 ある日、河童はとうとう我慢できなくなって、夜、彦助の家に忍び込んで、彦助の尻を、そーっと触ってみたんだと。
 そしたら、
「冷たい!」
って言って彦助が飛び起きたものだから、河童もびっくりして、一目散に川に逃げ帰ったのだと。
「河童め、俺のしりこだま食う気だな。困ったなぁ。どうしたらいいだろう」
って彦助は考えたんだと。
「このままじゃどうせ寝れないから」
と言って、彦助はそのままどこかに出かけて行ったんだと。
そして、次の夜、河童は又彦助の家に忍び込んで、今度は彦助が起きないように、いきなり、彦助の尻の辺りに噛みついたんだと。
そしたら、
「ギャーッ!」
って叫び声がして、又河童は一目散に川に逃げ帰ったんだと。
 叫び声を上げたのは河童の方で、それ以来、河童は悪さをしに川から上がってくることはなくなったんだと。
 ・・実は、
 彦助が前の夜に出かけた時、村のお地蔵さまを借りて来ていて、河童が噛みついた時に布団の中に寝ていたのはお地蔵さまだったんだと。
だから、彦助は何ともなくて、それからは畑も荒らされなくなり、安泰に暮らしたんだと。

とーびんと。





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